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すごいものを見た。 グアム島の港の沖に停泊する4万4千トンの武器弾薬を運ぶ軍需輸送船。
港から3時間おきに出るシャトル船に乗り、10分。
それが船とは信じられない、巨大なまっ黒の壁を垂直に10段ほど登り、一階の「入口」に立つ。
「!!」まさに息をのむ光景が、ドアを開けたとたん目にとびこむ。
身のすくむような戦車、昆虫の頭のような形のついたトラックに、人間の背より高い、太いタイヤ。
何に使うかもわからない、窓のいっさいない乗り物。
すべて、草色のおもちゃを、魔法の棒でひとふり、わっと拡張したような感じで、
実際にこれらが動くのが信じられない。
二年半おきにフロリダのドックに入って、実際に「エクササイズ」を行うというこれらの「乗物」は、
すべて実戦には未使用。
7階立て、エレベーターで上の甲板へ出ると、夜間照明のついたヘリポートに、100トンもの、
掲載のタグボートまで吊り上げる5其のクレーン、移動給油用の太いパイプ…、下を見ると、
あまりの高さに足がすくむ。
4階までぎっしり武器、弾薬がつまっているこの運搬船は、計算しつくされた
壁と天井の操作によって、このとほうもない重さの「武器たち」を陸上げ出来るしくみになっている。
5,6階の乗組員の船室とオフィスを見学する。
空調の効いた個室に、大きなベッド、シャワー、トイレ。レストランのメニューは毎日タイプされ、
メインコースは、3種類から選べる。その他に、ランドリーや、サウナ付のジムまで完備。
この運搬船の乗組員は、常時40人。ほとんどアメリカ本土からの、民間人である。
非常時には、軍人140人まで運べる3段ベッドのついた大部屋があって、最近では湾岸戦争の時に
使用している。
この海域だけでも、4隻もあるというこの運搬船は、近海を巡航しながら、世界中にいつでも
「出動」出来る、万全の対策がとられている。
アメリカ本土の若い世代は、グアムといってもどこにあるのか知らない、という人がほとんどだったが、
この、ふだんは日本人観光客が闊歩するこの小さな島に、私はまちがいなく
「アメリカ」という国を垣間見た。 |